人工哺乳は、母犬が育児放棄したときだけではなく、母乳の出が悪いときに補助的な役割としても行います。また、母犬がなんらかの投薬を受けていて授乳させてはいけない場合なども人工哺乳しなくてはいけません。
ミルク
牛乳や人間用のミルクでは、成長の早い犬には向きません。きちんと犬用ミルクを用意しましょう。作ったミルクが濃すぎても下痢の原因になります。成犬の下痢と違い、子犬の下痢は2〜3日続いただけで成長が大きく遅れてしまいますので注意します。
哺乳瓶
大型犬だと人間用の哺乳瓶で代用できます。小型犬では犬猫用の哺乳瓶が市販されていますのでそれを用意しましょう。吸い口がクロスカットされているものや、自分で穴を空けるものがあります。自分であける場合はカッターなどを使わずに、内側から爪楊枝などであけましょう。完全に吸う力がない場合はカテーテルによる人工哺乳を行わなければいけません。口から胃までカテーテルを通しますが、詳しい方法は動物病院で指導を受けてください。
飲ませ方
飲ませる前に排便と排尿をさせます。ミルクは人肌にして、体が弱っているときや消化の悪いときはミルクを薄めに作ります。少量のブドウ糖をミルクに混ぜてもいいでしょう。子犬を手の平で包むように持ち、もう片方の手で水平より若干上に向かせて角度をつけて与えます。空気を飲ませることは避けましょう。嘔吐の原因になります。お腹がいっぱいになれば自分から口を離したり、咥えたまま眠ってしまいます。長く咥えて口を離しても必ずしも飲んでいるとは限りませんので、すっているときに哺乳瓶の中に空気が取り込まれているかを見て確認してください。
哺乳の目安
補助的な哺乳の場合はあくまでも母乳を優先させます。完全哺乳の場合は、大型犬で元気なら1日4〜5回、小型犬や元気のない子犬の場合は回数を多くします。
排泄
普通は母犬が子犬の股間を舐めて排便や排尿を促します。子犬は自分で排泄ができませんので人工的に排泄をさせてあげなければいけません。
柔らかい布やガーゼを塗らして、軽くチョンチョンと突いてあげてください。
ごく少量の排尿が見られますので拭きとってあげましょう。排便も同じ要領で行います。